サイエンス&テクノロジー - ミリ波無線技術


ミリ波無線技術


ミリ波無線技術プロジェクト

次世代超高速無線技術として期待されているミリ波無線通信技術の基礎・応用研究を米国T.J.ワトソン研究所と共同で行っています。私たちは、高速の信号処理技術を生かして、10Gbpsを超えるデータレートの無線通信を実現する最先端の変調・符号化方式の研究、ならびにこのような超高速無線技術が新たな情報ネットワークインフラとして私たちの生活をどのように変革していくのか、という視点も含めての応用分野の検討を行っています。


超高速無線通信を可能とするミリ波技術

ミリ波帯の中でも60GHzを中心とする周波数帯を用いた超高速無線通信の研究が活発に行われています。ミリ波を用いたデータ通信の特長として、まず、その通信バンド幅が非常に広く、高速にデータの通信を行うことが可能となります。ミリ波の物理的特性として、波長が短くアンテナが小型化できることと、電波の指向性が高いことを利用して、通信を行いたい相手との方向にだけ電波を送信し、他の方向への電波の干渉を抑えることが可能になります。この手法により、空間中に同じ周波数を用いる複数の通信リンクを同時に確立し、空間中の機器同士が互いに干渉することなく効率よくデータ通信を行うことが可能となります。

このような特長を持ったミリ波通信技術の実用化が進むにつれ、この技術を用いた様々な応用アプリケーションが検討されています。データセンターでは物理的なケーブリングの煩雑さやメンテナンスが問題となっており、サーバーラック間を高速無線でつなぐことで、ケーブルを無くし、かつネットワークトラフィックのボトルネックを解消していくことができます。また、装置間のインターコネクトを無線化することによって接続性を高める方法や、家庭内のメディアサーバと様々な映像機器との接続の無線化や、携帯端末とのデータ送受信の帯域を広げるためにミリ波を用いる等が考えられます。


東京基礎研究所における研究活動

IBMでは、ミリ波を用いたデータ通信のソリューションとして、RFやアンテナ等のアナログ回路の設計・製造から、デジタルベースバンドや信号品質を向上させるための様々なデジタル信号処理IP、様々なアプリケーションへのミリ波の適用を加速するためのFPGAプラットフォームの提供を通して、お客様との協業による研究開発を行っています。

東京基礎研究所では、主にデジタルベースバンド信号処理技術についてのアルゴリズム開発とFPGAを用いたシステムレベルでの研究開発をしています。ミリ波RFと組み合わせることで、End-to-endの無線送受信システムを構築し、実時間・実環境での動作検証をしています。既に、非圧縮HDTVビデオストリーミング、ファイル転送、イーサネットのパケット通信などのデモシステムを構築し、様々なアルゴリズムや信号処理技術の研究開発をしています。さらに、この高速のミリ波無線リンクを用いることで、ネットワーク全体のパフォーマンスを上げるための研究をしています。このように、東京基礎研究所では、ゲートレベルの回路設計、情報理論を駆使したアルゴリズム開発、そしてシステムネットワーク研究まで幅広く活動を行っています。

このようなミリ波システムを支える技術研究として、下記の研究テーマを進めています。