ワークロード最適化システム - overview


マルチコアやスケールアウトに加え、トランザクション・メモリーやFPGAなど、新しいコンピューター・アーキテクチャーの機能が登場しています。それに従い、コンパイラーやプログラミング言語処理系、ミドルウェアなどのシステムソフトウェアも、それらのアーキテクチャーに合わせて新しいものが要求されています。また、既存のアーキテクチャーに対しても、使われ方(ワークロード)の変化によって、今までの処理系では十分な性能を出せなくなりつつあります。ITシステムが複雑になり、一般開発者からはシステムの詳細な動きが見えにくくなっている現在、ハードウェアの最大限の性能を引き出すためには、先進的なシステム・ソフトウェア技術が欠かせません。IBMの全てのJava製品に採用されているJITコンパイラーに代表される先進技術を持ち、また多くの国際会議でそのリーダーシップを認められている東京基礎研究所では、このような新しいアーキテクチャー、新しいワークロードに対して、たゆまないイノベーションを実践しています。


Competency fields

  • ハイパフォーマンス・コンピューティング・アンド・アナリティクス
  • 2012年にローレンス・リバモア国立研究所にてピーク性能20ペタフロップスを達成したBlue Gene/Q(Sequoia)を始めとする、スーパーコンピューター上のアプリケーション及びシステムソフトウェアの最適化の研究、特に、量子色力学(QCD)、高速フーリエ変換(FFT)、流体解析(CFD)プログラムの最適化技術の開発を米国 T.J.ワトソン研究所と共同で行っています。また、スケーラブルなアナリティクスフレームワークに向けた技術として並列分散プログラミング言語X10の開発、および Jaql などのスクリプティング言語の高速化技術の開発にも取り組んでいます。

  • システムズ・オブ・エンゲージメント
  • ITシステムは、Systems of Recordから、Systems of Engagementへの歴史的な転換期を迎えています。Systems of Recordでは、プロセッサ、OS、Java、ミドルウェア、アプリケーションと、積み上げられたスタックを縦方向に最適化してきました。一方、エンドユーザーやビジネスパートナーと密で継続的なインタラクション、コラボレーションが求められるSystems of Engagementでは、ネットワーク化されたミドルウェアに対する横方向の最適化も求められます。たとえば、Smarter Commerceを活用するお客様は、Unicaを利用してクライアントと最良の関係を築き、Sterling Commerceを利用して最適なサプライチェーンを管理しながら、WebSphere Commerce上で稼動するeコマースサイトを運営します。私たちのチームは、このような、Systems of Engagementにおける、ネットワーク化されたミドルウェアを、よりスケーラブルに、より低レイテンシに、より高いスループットに、そして、より少ないメモリ使用量にする最適化を研究しています。

  • ハイパフォーマンス・コマーシャル・システムズ
  • 私たちのチームは、新しいハードウェア機能の活用、先進的なコンパイラ技術、性能解析などにより、トランザクション・サーバーなどの商用システムの性能を向上させる研究を行っています。新しいハードウェア機能としては、SIMD命令、ハードウェア・トランザクション・メモリ、性能計測ハードウェア、FPGAなどを活用しています。これらの機能を活用するにあたり、世界で最高性能のJava JITコンパイラを開発した経験を生かし、先進的なコンパイラ技術を研究しています。さらに、一般的なスケール・アップ、スケール・アウトといった並列処理に加え、スケール・イン技術の研究も行っています。ここでは、ストレージ、メモリ、処理装置などを密に統合し、データの近くで計算を行うことで性能を向上させることを目標としています。